道
とおだ。かわいいだろう。
このまるまるとした赤子の名前は 道 (みち)
私のいとこ、かわいい妹分、さとみ の息子です。
私ってばね
道 と遊ぶのに夢中で
娘の幼稚園バスのお迎え行き忘れそうになったり
干したまんまの布団を 忘れてしまったりした
可愛くて仕方がない
自分の娘だこのくらいだったころを思い出す
私は必死だった
家も渋谷で実家から遠かったから母に甘えることも難しく
ふたりきりの日々 戦いのように思えてしまって
娘が かわいい と思う瞬間なんて
ほんの すこし だったかもしれない。
抱いて 寝かせる それで精一杯よ
娘が泣く
神経が ぴりぴり っと 痛む
耳の奥が 耳鳴りみたいになって 歯がきしむ
耳をふさいでしゃがみこむ自分と
体を弓のように反らせ、勢いよく泣き続ける娘。
今は
なぜそんなことになってしまっていたのか
よく わかるんだ
私が 子供だっただけ
毎日の生活の中でtoko が私を「母」にした
そうでなければ
私の人生なんて
誰かが自分を幸せにしてくれるはずなのよ ってゆう
他力本願のままの人生だったかもしれない。
さとみ は きっと
これから 道 と歩んで
少しずつ「母」になってゆく 経験をするんだって思ったら
じわり 涙が出そうになったけど
隠した。
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